研究内容

関学のブランディングを生み出す
Sustainable Energy Institute

持続可能な社会の実現に向けたInstituteの創設

持続可能な社会の実現には多様な分野からのアプローチが必須です。なかでもエネルギー問題の解決が基幹であることは間違いありません。 関西学院大学では、10年ほど前に、エネルギーを創り、蓄え、それを必要な時、場所に運び、そして有効に使うことに主眼を置いた研究・教育を行う学科を創設しました。さらに、学部の改組なども経ながら、2021年に学部を越えてテーマを絞った学長指定研究「持続可能な社会に向けた革新的エネルギー材料・システムに関する研究」を立ち上げ、我が国の科学技術立国再生のカギとなるSustainable Energyに関する研究を推進しています。

このたび、この学長指定研究を発展させる形で、本学の研究力強化(関西学院大学ブランディング事業)を目的に3つの研究を柱として、Sustainable Energy Instituteを創設しました。これを基盤に、国の様々な研究プロジェクトを推進していきます。

モノづくり新世紀 -究極の多孔性材料を用いた持続可能な社会への挑戦

持続可能な社会や脱炭素の実現「グリーントランスフォーメーション(GX)」に向けては、未踏の物質の探索や開発が重要です。我々は、究極の多孔性材料である金属有機構造体(MOF)に着目し、水素発生触媒、ポストリチウムイオン電池用電極材料、二酸化炭素吸着材としての応用を見据えた研究を行っています。最近では、このような材料開発においてもDX(デジタルトランスフォーメーション)の波は押し寄せており、機械学習を始めとする数理・情報科学的手法を用いた高機能な材料探索も行っています。

洋上風力発電のマイクロ波を用いた無線送電

外洋に広がるEEZ(排他的経済水域)で洋上風力発電した電力を海洋インバースダムに蓄電しつつ、マイクロ波を用いて領海内の洋上基地まで無線送電する次世代電力プロジェクトの実現を推進します。洋上風力発電した電力は直流に変換したのち、窒化物半導体トランジスタを用いてマイクロ波周波数(5GHz帯)に変換し、数キロから数十キロメートル離れた洋上基地まで無線で送電します。高効率な電力変換技術と電波漏洩のない無線送電技術の研究開発が求められます。

洋上でのマイクロ波無線送電/窒化物半導体トランジスタ/電極配線の拡大写真

液体水素を利用した超電導発電

未来の水素社会において、液体水素の冷熱の有効活用が求められています。我々は、液体水素で超電導界磁コイルを冷却し、蒸発した低温ガスで常電導電機子を冷却した後に水素ガスタービンに送って発電するシステムを構築することで、液体水素の冷熱を余すことなく活用したゼロエミッションな発電システムの実現を目指しています。現在は、NEDO先導研究を通じて、液体水素冷却超電導発電機の要素技術開発とデモ機製作を行い、世界初の発電検証を2024年度に実施予定です。